三重の百人対談

米沢正郎さん×田代慶光さん

第3回

第3回
米沢正郎さん×田代慶光さん

対談ダイジェスト
竹との出会い

米沢- 明和町、多気町、多気郡、松坂市と広域にわたりまして竹の有効利用をする際何が一番いいのか研究しましょうねということで始めたのがとっかっかりです。いわゆる自然の乳酸菌とか酵母、ミネラルのようなものが有機物への発酵作用、分解作用のおかげで、自分がかんなで竹を細かく削って、それでやった結果が思ってたより面白く生ゴミが消えるというのがあった。非常に簡単に微生物が働くための環境さえ整備してあげれば、比較的簡単に処理が出来るということがわかったんです。

田代- 僕はまじめな学生でもないもんですから、ただまぁ楽しい事をしようと思って、いろいろな人と出会うきっかけとなったのがエネルギー環境教育研究会です。企業の方と地域の方、NPOで活動されている方が一つの事を話し合う会で、大学の教授が仕切っていたのですが、実際には学生の方が環境に興味が無いぞということになり、僕が参加することになった。その中に入ると実際に話し合われているのが、また面白かったんです。特に面白かったのは、微生物で臭いを分解する中でも、猫のトイレのすごい臭いが消える!というところ。なのに、広がっているかというと、実際ネットで調べたところやっぱりそこまでいい微生物というのは広まっていない、ということで何か出来れば面白いんじゃないか、ということがきっかけです。

ビジネスへの模索

米沢- 自分たちで粉末を作る機械を開発しまして、そこで粉末加工しています。ただ、そのチップは処理を自然にするにしてはまだまだ大きくて、第3工場でさらに小さくして、そして自分たちのところへ持ってきて、そこで2カ月3カ月おく。そして始めてモノとして世の中へ出せる、という工程を今作りあげています。竹の成分とかを掘り下げていくことで、食品業界・化粧品というところに使っていただける可能性は十分ある。これからビジネスとして、いかに企業を見方につけるか。企業に資材としてもちかけるには、もちろん供給と需要の安定化も必要ですね。

田代- そうですね。竹は無尽蔵であること、さらに20年に一度竹の繊維によって森がなくなるということ、資源としてこれだけあるなら、利用できないかという話になって、実際に僕らの技術で何ができるのかと考えた結果、養鶏になりました。今は日立の助成金をいただきながら、鶏を500羽飼育してます。500羽で一日に大体400個あたり産まれます。それを旅館さんで使ってもらって、また、地域のところで販売してます。今のところは評価としては、臭みがないということが1つですね。今後もっと地域のつながりでいろいろと販売できたらいいなと思っています。竹の有効利用と、地域での地産地消、とで、地域の輪をつなげて活動しようといろいろ考えています。

これまでの生き方、これからの働き方

米沢- 現在は自営業で、ビルの自電設備の点検業務を請け負っています。自営業でないと、たぶんこういう活動はやれないです。それにたぶんサラリーマンしていたら、こんなことひとつも思い浮かばなかった。サラリーマンから身を引いて、次何を自分はやりたいのかなと時間があるがままに考えていたら、これに行きあたったと。そして今、面白しろうてしょうがないというところです。

田代- 実は僕も就職という形もしなければいけない時期なんですけども、どうせなら面白い事をやろう、と。これで成功しようが失敗しようが、すごいいいことが出来るんじゃないかということで今回就職を断念しました。 僕の年というのは、知識も経験も何もない状態、できることは体を動かすことだけ。けれども研究会のメンバーは団塊の世代。こうした環境というかきっかけがあって、そういう風な環境はなかなかないぞ、捨てるのはもったいないなと思って。 今のところは研究会のバイトとして生計を立てているが、こうして実証実験しながら、且つ生計として成り立つのかというのを試している実験中です。

米沢- 回りの人からも、これをやるなら3年はボランティアと言われていました。自分の本業をやりながら、空いている時間を使って、という安易な考えでおったんですが、ところがこういう時代ですので、どっちもこっちもというのは難しいので、今やっていること事業としてビジネスとして立ち上げるのが一番先決ではないかなと思い始めています。

田代- 僕も、これを仕事やしくみにして、循環という歯車を回していきたい、と思っています。

 

プロフィール

米沢正郎さん

竹の都・明和農業生産研究会

竹を粉末にした「竹パウダー」を利用して生ごみの堆肥化、野菜作りなどを行う住民グループ「竹の都・明和農業生産研究会」を多気郡明和町で設立。自然循環型社会を目指して、竹粉末の生産・販売などコミュニティビジネスを模索中。

田代慶光さん

伊勢竹鶏物語

四日市大学環境情報学科4年生。「伊勢竹鶏物語」は、四日市大学エネルギー環境教育研究会が主体の地域循環型ビジネス創造への取り組みで、竹粉末と食品残さ、微生物を混ぜた飼料を使った養鶏と、その鶏糞の、堆肥化再利用。地域循環のミッションとビジネスの両立を目指し、養鶏事業に奮闘中。

 

(2010年8月)

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