三重の百人対談

端無徹也さん×海山裕之さん

第1回

第1回
端無徹也さん×海山裕之さん

対談ダイジェスト
始めた理由

海山- NPOという形で、新しい形のコミュニティを提案して実際そういう場を創っていこうと決めたのは15年以上前。 当時長男は中学生でした。 中学生くらいにになってきて子どもの将来をいろいろ考えますよね。 こいつらが30代40代になって社会の中心になる、その先にはおじいちゃんに。 それで世の中だんだんいい方向に向かっていないなと印象を受けていた。

それはなんでだろうと思った時、人と人とのつながりがものすごく希薄になってきたな。 その結果、地域社会というもののなかで、コミュニティが上手く機能していない状況が生まれてきていて これってまずいよなぁと、こういうことを思ったんですね。

端無- あぁ、それは共通認識ですね。まちづくりしようとか思ってないですよね。 僕はね、漠然と将来のためにって思っていて、自分の子どもができて、子どものためにってなったんです。

尾鷲市は今人口が2万1千人。統計をやっていくと20年後の平成42年に市の人口が1万3千人になっちゃう。 そうすると娘が成人したとき、自分の町が1万3千人。1万3千人って市のレベルじゃないですよね。 そう思ったときに、今やっていることっていうのは、もともと使命感を感じていたけど、もっと大きな使命感になった。 わが娘が二十歳になったとき、そういう人口にしてしまっていいのだろうか、 もしくはそうなってしまったときにそこで楽しく暮らせる、先ほどの海山さんのお話やないですけど、 子どもたちのために何をしたらいいのだろうと。

場所を創る

海山- もっともっと地域に細かい網を張って、地域のいろんな課題とかをケアしていくことを考えたとき それはサロン的なことでできるんやないかって考えたんです。

サロンをやろうかという人は結構いるとよんだんですよ。 ただ、そういう人がねぎ焼きをやりたいか、っていうとこれは数が減ってくる。 そこにワンディシェフなど調理を得意とする人たちがいる。 これらの共生的なパブリックな場をできないか、 その1号店を間もなくオープンします。さらにこうしたサロンを2年間の間に10か所オープンするんです。

端無- 場所を維持するために、他の事業で売上を作るっていうことですよね。 似てるなぁ。うちはね、やきまんじゅうで屋台をしようと。 その収入で場所を維持する。

今、場所っていうところが求められているという気がするんです。 雑多なところで人が集まれる場所ってゆうか。 人口30万人の四日市、2万人の尾鷲、それでも必要やと思うレベルは一緒やと思う。

何かやりたい

端無- 何かやりたい、何かは決まっていないけど何かやりたいという相談をよく受けるんです。 僕はね、すぐにね「やってみたらいい」と。 何かしたいけど踏み出せないという人に、どうアドバイスします?

海山- 人間って、一人で何かを始めるのって、すごく勇気がいります。

実は、ワンディシェフで作っているコミュニティっていうのは、 まさにそういう人たちが挑戦することを支えるコミュニティにしたいと思ってるんです。 始めたときにお客になったり、悩んだときに聞いてあげる、そういうサポートができる。 コミュニティの中で、コミュニティから起業するという形ができるんじゃないかと。

天職

端無- 海山さんのやりたいことの中心に、常にワンディシェフがありますよね。 僕の場合は、それがまだうまく見つけられていない。 とりあえずいいなと思うことは手当たりやっているけども、

僕はこれで尾鷲の町をなんとかしていく、そのこれが見つかっていないんやと思いました。

海山- あのね、私も45ですわ。それまでね、何もわからなかった。 ただ、飲食店をやっていたのは「調理人になりたかった」わけではないとずっと思っていました。 要は何かをプロデュースしたかったんです。

ようやく、コミュニティという自分の課題を解決するための方法として、 ワンディシェフというシステムができたんで今はこれだ、と。だから45過ぎてからですよ。 おそらく、みなさんの回りにも天職みたいな職業について楽しそうに生きてるなぁという人いますよね。

始めた理由

そういう人たちとしゃべっていてみなさんがいうのは、私もそう思うのは 「自分の天職に出会うと、今までやってきたことが全部プラスに作用する」って。

もし本当にそんな法則があるかどうかわかりませんが 今、自分のやりたいことが見つかっていない人でも、 とにかく今やっていることを100%力を込めてやっていたら、 将来本当にやりたいことが見つかったときに、100%返ってくると思います。

 

プロフィール

端無徹也さん

熊野市生まれ、尾鷲市在住。

東紀州コミュニティデザインセンター事務局長、尾鷲市議会議員。
中間支援組織の運営を中核として、Cafe_CReAMの経営、フリーペーパーowasebon制作委員会の推進、アート&クラフトスペースのキタガワノホトリの管理運営など多数のプロジェクトを手掛ける。

海山裕之さん

四日市市生まれ。四日市市在住。

こらぼ屋代表。
こらぼ屋は、全国に20以上の加盟店を持つ
ワンデイシェフ・システムの本部機能を担う団体。
現在サロン併設型カフェ「結縁屋台(ゆえんやたい)」の事業モデルづくりに取り組んでいる。

 

(2010年6月)

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