紀伊半島有数の漁獲量を誇る、尾鷲。
今回、尾鷲市天満浦で開催された大漁旗の展覧会『心躍る!大漁旗展』を訪ねました。
見渡す限り屋根に大漁旗が掲げられた、にぎやかな界隈をぬけて、会場である天満荘へ向かいます。大正時代に建てられたという趣のある建物は、入口から玄関、座敷に至るまで、今にも布から飛び出さんばかりに力強く染められた大漁旗に彩られていました。
展覧会の主催は、天満浦百人会。
「(大漁旗がはためく姿は)希望そのもの!私は憧れきっとるんや。もう職人にはなれへんけどね」と笑う松井まつみさん(75)、15年も前から大漁旗の展示企画を温めてきました。
船を新しくすると、ゆかりのある人から大漁を祈願して贈られる大漁旗。すり切れて、色あせた姿もまた、漁師の誇りでもあります。
展示にあたって松井さんは、すでに紀州に一人となった大漁旗の職人、万助屋・山本昇吾氏(85)の現場を足しげく訪ねます。また、天満浦の一軒一軒を訪ね、手持ちの大漁旗を掲げてくれるよう、お願いしてまわったそうです。
企画が動くと地域の方に留まらず、デザイナー、地元の有名会社の社長、行政マン…いろいろな方が共感を示し、それぞれの形で協力してくれました。
集まった大漁旗は、なんと100枚以上!イベント当日は100人以上が集まり、座談会やブリ丼ランチ提供などで盛り上がったそう。
約30年前、「天満浦を元気にしよらい!」を合言葉に、PTAの仲間からはじまった集落の活動。それが、「夢古道おわせ」スカイフードレストラン出店や天満浦のシンボル「天満荘」オープンへと発展し、今や大漁旗展を通して、尾鷲中の心を躍らせています。
ホームページでは「100人もいません(笑)」と茶化しながら、天満浦百人会の足取りは、確実に人を動かし、つないでいるように見えました。
展示は16日(月)まで。企画の詳細はこちら。
天満浦百人会のホームページはこちら