NIUの事務所は、7年間空き家だったおうちをお借りしています。
歴史のある丹生の中でも、旧街道沿いで趣きのある集落にあります。
そしてここは、誰でも借りることができたわけではないおうちだったと
後から教えていただくことが多いです。
今日は、公民館から事務所へ歩いている途中で、乳母車を引いたおばあちゃんに
「あんたは長谷川さんとこの人かね」と、話しかけられました。
「ここのふきちゃんは、小学校の先生しはってた方でな、本当にあったかいお人やった」
そして、代々庄屋さんだったこと、地域の皆さんはよくこのおうちに集まっていたことなど、
歩きながら教えていただきました。
そして、別れ際に「これからは、あんたが守っていったってな」と。
ずっしりと重たい言葉でしたが、
道すがらにこんな風に、地域に暮らす人に話しかけていただいたのは初めてでした。
思い返せば、事務所のオープンイベントを開催した真冬の2010年12月6日。
道案内のスタッフにカイロまで用意して寒さ対策をしたのですが、
その日だけすかっと快晴でした。
オープンイベントでおうちを訪ねてくださった地域の方々が、「ふきちゃんが喜こんどる」と
空を眺めておっしゃった言葉が耳に残っています。
「この選択でいいのだろうか」と思う毎日。
ときどき、ふきちゃんさんの声が聞こえないかと空を仰いでみたりします。
「この道で良かったのですね」と報告できることをたくさん、重ねていきたいと思います。