事例紹介:地元産のヒノキを使ったバイクラック

皆さんがよく目にする「サイクリスト」。カラフルなウェアに身を包み、見るからに速そうな自転車に乗っています。その自転車ですが、駐輪するためのスタンドが付いていません。理由は単純で、「より速く・より快適に走る」ための自転車であって、「止まる・停める」をほとんど想定していないからです(このあたりは過去の投稿をご一読ください)。

そんなサイクリストの利便性を高めるため、バイクラックを置く商業施設が増えました。しかし、多くのバイクラックが金属製の市販品か、ホームセンター等で入手できるツーバイフォー材と金具を使ったものです。そのほうが安価に準備できるかもしれませんが、もっと地域資源を活用すべきと私たちは考えました。

そこでコラボレーションしたのが、桧(ヒノキ)をメインで扱う下出木材さんです。

桧を選んだのは理由があります。

① 昨今の自転車はカーボン製で傷がつきやすい。桧なら柔らかいので、木のほうが負けてくれる。

② ツーバイフォー材は水に弱い。桧は風呂桶に使われるほど水に強く、日本の気候に合っている。

③ 地元の木材事業者さんに、仕事として依頼することができる。

①はサイクリストの嗜好を考慮し、超カンナ仕上げ・面取りだけでなく、表面に金属部品が出ないような配慮もしてあります。

②はバイクラックの設置事業者さんにとっても重要で、桧ならまったくの無塗装でも10年持ちます。勢和の森MTBパークに置いてある耐久試験用のバイクラックは、無塗装・雨ざらしのまま14年目に突入しました。ツーバイフォー材では防腐剤塗布を続けないと持ちません。

③は地域資源を活用し、持続させていく上では特に重要と考えています。おかげさまでこのバイクラックは北海道から沖縄まで累計800台以上を販売し、コラボ先にとってもビジネスとして成立しています。

副次産物?として、↑の写真のように取材も多数ありました。バイクラックを置いて記事になり、コラボで記事になり、一石二鳥です。

出典:中日新聞

 

特注でこんなロングバージョンも!

 

皆さんの地域でバイクラックを設置する際の、ご参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

西井 匠

自転車なんでも活用博士

スポーツ科学の博士。北京オリンピックではマウンテンバイクチーム監督を務めた。肩書からはバリバリの体育会系と思われがちだが、高校卒業まで帰宅部、大学は農学部という異色の経歴の持ち主。高校時代に単なる旅の足としての自転車からスタートし、最後はスポーツ・競技に至る。この、両極端を知るからこその引き出しの豊富さが好評を博している。
多気町自転車のまちづくりプロデューサー・長野県サイクルツーリズム推進コーディネーターなど

« 新着情報一覧 »

新着ニュース